『枕元の本棚』(津村記久子)- GWに読んだもの
GWにあわせてKindleで各社セールをやっており、ほいほい買ってしまっております。紬です。
そんな出だしで恐れ入りますが、
本日はセール関係なく買った津村記久子さんの『枕元の本棚』について書いてみようと思います。
わたしは津村記久子さんが大好き。
思考回路だけならほぼほぼ私なんじゃないか?
とおもっていた時期がたしかありました。
(失礼すぎる)
そんな津村記久子さんの読書エッセイということで、大切に読み進めております。
あいかわらず毒にはならずに薬のみになる本のピックアップ具合と、
たまにものすごい毒をおりまぜた淡々とした紹介文が秀逸です。
たとえば「丁寧な暮らし」系の言説にふれたこの箇所。
日々を大切に生きなさい、という言葉は、本当に聞き慣れた凡庸な物言いである。そんなこと言ったって、わたしもみんなもくそ忙しくてそんな暇はないんだよ、雑に生きながら、明日に自分の体を届けるっていうだけでもう死に物狂いなんだよ、セールストークだか優越感のためだか知らないけど、軽々しくそんなことを言って追いつめないでくれ。そう反発したくもなる。ひねくれた視点かもしれないけれども、日常に手間暇をかけすぎることは、有閑と裏表の関係であるようにも見える。きれいごとにかこつけて、物やサービスを売りつけようとしてくる人、「大切に生きていない人」を諭すことによって何かを奪い取ろうとする人。日々を楽しむ「余裕」の裏には、有象無象の思惑が渦巻いている。(『枕元の本棚』(津村 記久子 著)より
爆笑しました。
毒なんだけど、同時にだれかを救う薬でもあるなあと思います。
あと、小説や新書だけでなく、
図鑑を紹介してくれるところも好きですね。
とくに「これこれ!」とうなったのが、
『エピソードで読む 世界の国243』を紹介した下記のくだり。
大きな国土の国も、小さな島も、あらゆる国と地域がほぼ平等にページ数を割かれて説明されているところである。たとえばヨーロッパだと、フランスやドイツと同じだけの比重で、モンテネグロやアンドラが語られる。この本を読んでいると、その構成そのものから、国や民族や文化には貴賤はないんだなと思えてくる。」(『枕元の本棚』(津村 記久子 著)より
すごく津村さんっぽい表現。
貴賎だとかヒエラルキーだとか、
わたしはそういう小さなことにすぐとらわれてしまうので、
こういう視野の広いものに定期的に触れるようにしています。
しかしなかなか心は広くなりません。
日々修行だなって思います。
そしてこの本を読んでいて、
なにより気になったのが『秘密結社の手帖』(澁澤龍彦)
さっそくKindleで買ってみたので並行して読んでいます。
澁澤龍彦の淡々とした文体と、秘密結社の在り方のギャップがじわじわきます。
読み終わったら感想を書いてみようとおもいます。どきどき。
(紬)