やだんこ!

共通点があったりなかったりする者同士で更新するWeb同人誌です

深入り危険な男のようだった『A子さんの恋人』(ネタバレしません)

方々のマンガ好きから聞いてはいたが、

 
雑なスタートで申し訳ないが、
面白さ、おしゃれさ、微笑みながら切り込んでくる感じ、
すべてにおいてやばかった。
 
どんな話かというと、
日本とアメリカをまたいだ男女の三角関係およびその周辺の物語。
とりたてて目立つわけでもない女性A子が、
魅力的な男二人に何故かとことん愛される、という少女漫画の鉄板モノである。
 
ただ、そうまとめるとものすごい違和感がある。
なぜだろう。
 
A子を追っかける男の一人として、
世渡り上手なA太郎という男が登場する。
 
長身イケメンの飄々とした人たらし。
才覚もあり、みんなに優しいのでとにかくモテるが、
根本的には超絶ドライなので、
深い関係に踏み入るには覚悟がいるタイプの男だ。
 
伝わりづらいことを承知で書くが、
「なんか、この作品自体がA太郎みたいだな……」と私は思った。
  
A子とA太郎を中心とし、
シュッとした絵柄で描かれる美大出身のキャラクターたち。
ときおりインテリ眼鏡のアメリカ人もでてくる。
彼らがニューヨークやら吉祥寺やらおしゃれな街で日々を過ごし、
かわいい毒をはらみながらも恋に仕事に生きている姿は、
「ははは」とおせんべい片手に気楽に読めてしまう。
前半までは。
 
少し力の抜けた洒落た世界観に入り込み、
のほほんとした雰囲気と、ほどよい毒加減に油断していると、
途中でガッとやられる。
 
わーーーA太郎みたいだーーー!
 
そんなふうに(?)私がやられたのは三巻の終わり。
 
ネタバレしません、
とタイトルに書いたので詳しくは避けるが、
キャラクターたちが底のほうに抱える孤独や諦観がどストレートに私を直撃し
 
「なんだこれ、さみしい! さみしいぞ! うぐううう」
 
という呻きがあふれた。
読んでいたベッドの中で。真夜中に。
 
そう、前述の違和感は、
あ~アート系の洒脱な少女漫画かな? と思わせておいて、
ががっと心に切り込んでくるからではなかろうか。

……。
 
はー。(休憩)
 
 
そんなふうに呻きながらも、
やられた……読むことをやめられない! ずるい!!  そしておしゃれ!!!
と、いろんな意味でノックダウンされたのだった。
 
ただいま5巻まで出ており、
続巻がでるのは半年以上先らしい……。
はやく出てほしいような、ゆっくり待ちたいような。
 
複雑な気持ちで待っているのも、
A太郎にかなわぬ恋をした女のようでなぜか悔しい。
 
はー。(溜息)